それでも、当時の味覚と判断は正しかったと、今にして実感。
例えば、このイチゴとマンゴーソースに、サーモンとイクラを合わせたアミューズには、香りの控えめな純米大吟醸を選びました。芳香の高い酵母での吟醸酒は、フルーツの香りとバッティングしてしまいます。また、アル添の大吟醸だとキレすぎて、フルーツとイクラの微妙なコラボの味わいを消してしまいます。純米系だからこそ、美味しさを、包みます。
例えば、山名酒造の純米大吟醸 卓 がふさわしい酒でしょう。
そして、火を通すメニュー。キジバトのローストには、あえてソースに醤油をアレンジすることで、日本酒との相性を良くしました。ただし、ジビエではなく、食用のキジバトなのでクセはなく、身の柔らかさにもゆるめの山廃純米などを合わせます。
飛良泉の山廃純米などがいいですね。
また、バターやクリームを使った乳精を使ったメニューは、当然、乳酸発酵の旺盛な生もと純米などしっかりとしたコクと酸味で合わせること。例えば、萩乃露 生もと 大辛口 などですね。
つまり肝心なのは、米の旨味による酒の甘さとアルコール発酵による酸味を、料理メニューに合わせる実験と実証。
基準さえ分かれば、応用することで、フレンチやイタリアンも日本酒とペアリングができるわけです。