2020年5月28日木曜日

寿光イチオシの店 VOL.13 「やきとり 鳥源」

関西は、ようやく平常モードに戻りつつあります。
短い時間ながら、仕事帰りや休日の宵酒を楽しむ、至福の一杯が欲しくなってきました。
兵庫県伊丹市にある、こだわりの鳥料理店「鳥源」さんは、まさにピッタリ!
極上の焼き鳥と選りすぐった日本酒を、瀟洒な店内で、ゆるりと楽しめますよ。



「静謐&和モダンにくつろぐ、大人の焼鳥店」

古くから閑静な住宅街である、兵庫県伊丹市。近頃は周辺の再開発によって若い世代の住民も増え、トレンドな駅前店も立ち並んでいる。中でも、20176月にオープンした「やきとり 鳥源(とりげん)」は、ひときわ異彩を放つ存在。阪急電車伊丹駅から歩いて数分のマンションの1階、粋な料亭かと見まがう一面群青色の壁が美しい店構え。かつて筆者が訪れた北陸・金沢の御茶屋を髣髴とさせる色合いで、美しい青には高貴なゲストを迎える意図を感じる。


玄関脇は地元・伊丹で醸される銘酒の菰樽が積まれ、ゲストの垂涎をそそる。しかし、一歩店内に入れば、イタリアンバルかシックなBARのような雰囲気。ほのかなダウンライトに浮かぶ14席の白木のカウンターの向こうにはギャルソン風のスタッフが佇む。4席×26席×1のテーブル席もゆったりとくつろげ、そこかしこに並ぶシャンパンやワインのボトルが、おしゃれなジャズBGMにふさわしい。

「私がこだわる極上の焼鳥だけでなく、時間と空間、器やおもてなしまで、ちょっと贅沢に味わって頂くのが当店のコンセプトです。銀座や北新地にも似たような志向の店が増えましたが、当店の自慢は、伊丹市で50年の実績を持つ鶏肉専門卸会社である私の実家がこだわる上質のブランド“丹波地鶏”や“但馬すこやかどり”です。旨味と脂ののったこの鳥肉には、日本酒だけでなく、シャンパンやワインもベストマッチしますよ」
 若々しいイケメンな笑顔と、逞しく引き締まった体格で答えてくれたのが、鳥源のオーナー・松本 雄宗(まつもと たけむね)さんだ。弱冠29歳のナイスガイで、聞けば、学生時代はアメリカンフットボールの選手として活躍していた。若々しい松本さんのセレブな焼鳥嗜好は、ミドルエイジのお客様を中心に静かな人気を呼んび、夫婦や家族連れの姿も増えている。



「当店では串焼きを1本ずつお出しする、付き出し、小鉢、スープなどを含めたコース料理が基本です。3つの定番(5串コース/¥1,8007串コース/¥2,30010串コース/2,500 *すべて税別)と、7串コースにサラダや特製の鳥源ラーメン、デザートが付くフルコース(¥4,500/税別)もおすすめです」
 単品での焼鳥もあるが、コースの追加注文のみ。焼鳥は味のたんぱくな串から、しっかりと脂ののった串へ進みながら、それに合う酒をお勧めもしますと松本さん。箸休めには酒の肴になる一品料理20種も楽しめるが、さて、アルコールのラインナップはいかがと冷蔵ケースを拝見してみた。


「日本酒は伊丹の地酒3銘柄のほかに、人気の吟醸酒も57種。ワインは11種類、シャンパン5種類、焼酎も10種ほどご用意しています」
 いわゆるオヤジ系の焼鳥屋と一線を画すおしゃれな鳥源は、ワイングラスで日本酒を提供している。さらに焼鳥の器はアートな趣きで、逸品の鳥料理を引き立てる。ただ、古めかしい印象の「鳥源」の店名だけは、実家の鳥肉卸会社にちなんでいると松本さんは胸を張る。では、その由来も含め、松本さんのプロフィールを訊いてみよう。



夢はアメリカでの成功、「クールな焼鳥」を世界へ!

大学を卒業後、大手の発酵化学食品会社に勤めていた松本さんは、脱サラをして西宮市にある焼鳥の超繁盛店で、炭火のいこし方など、一から修業を積んだ。
「大企業のルーティンな営業マンの仕事が、自分には向いてないと感じていました。やっぱり代々商売人の家系ですから、血が騒いだのでしょうね」
 照れ笑いする松本さんだが、個性的な鳥源からすれば筆者は正解だったと拍手を送りたい。ただ、実家が鶏肉卸の老舗だけに、焼鳥店を起業したのは、ある意味、常道のように見える。しかし話を聴けば、鳥源のセレブ志向の原点は、子どもの頃から一級品やカッコよさにこだわる松本さんのセンスと、かつてアメリカで体験したチャレンジスピリッツにあるようだ。


「元来、私はカッコいいライフスタイルに憧れがあって、
焼鳥も海外でそんなビジネスモデルにできると思っていました。鳥源を日本一の焼鳥店にすることが目的ではなく、焼鳥という日本の食文化を世界中に広めてみたいですね。そんな夢を持つ姿勢は、大学時代に留学したオレゴン州での暮らしから身に付きました」
 大らかなオレゴン州で知り合った誰もが、それぞれに、自分だけのアメリカンドリームを追い求めていたと回想する松本さん。その余韻は松本さんの胸から消えることなく、クールに響いていた。ようやく夢への第一歩としてスタートさせた鳥源で、焼鳥ではなく「鳥源に行きたい!」と指名するゲストこそ、自分の理想だと熱く語る。
「きっと、伊丹市で半世紀前に鳥肉卸の商いを創業した祖父・砂田 源治郎(すなだ げんじろう)も喜んでくれると思って、店名に、彼の名前から“源”をもらいました」
 和と洋をコラボする“焼鳥モダニズム”だけでなく、先祖から受け継ぐ“不易流行”を大事にする松本さんの心に、筆者は感服しきりである。


鮮度と旨味の競演! ワイングラスの日本酒が躍る!

鳥肉は色とツヤを見れば、美味しさのちがいが分かると筆者はこれまでの取材経験で実感している。鳥源では、まさに、それを堪能するメニューがまず登場! 松本さんイチオシの「ささみ昆布じめ(¥700/税別)はコースメニューにも含まれ、ハーブで育てた但馬すこやどりを使用。極上で肉厚な60gのささみを日本酒と昆布で一日じっくり寝かせることで、さらに旨味を引き出している。これには、キレのいい辛口タイプの純米吟醸が合いそうだ。


そして、メインディッシュの串焼きの鳥! ささみや砂ずり、レバーほか、おすすめの部位が注文本数によって、1本ずつ供される。(写真は、撮影用のため5本盛り) 脂ののった地鶏は、日本酒だけでなく赤ワインとも楽しんでみたい。平均客単価は、¥5,000~¥6,000とお手頃価格。シャンパン好きの女性をエスコートすれば、必ず満足するにちがいない!


さて、今夜はひと足、伊丹まで足を伸ばして、贅沢な大人の焼鳥を「鳥源」でいかが。

■やきとり 鳥源(ご予約を、おすすめします)
兵庫県伊丹市西台3丁目1-20
電話:. 072-768-9877
営業時間:17:0023:00
定休日:日曜日・祝日




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