2020年5月9日土曜日

寿光イチオシの店 VOL.10 「美食屋 こころ」

大阪府知事と大阪府民のがんばりで、ようやく自粛緩和のきざしが見えてきました。
晴れて普段の生活に戻ったら、行ってみたい、うまい店!
そんな情報を発信している「寿光イチオシの店」、今回は、京阪電車沿線の萱島にある
アットホームな賑わいが自慢の「美食屋 こころ」さんです!
女将さんの手料理は、垂涎の大皿メニューぞろいですよ~。現在、テイクアウトのランチ&オードブルも展開中です!


       アイデア料理とおふくろの味に和む、下町の美食屋。


寝屋川市の京阪電車・萱島駅前には昭和の面影を映す商店がそこかしこに覗き、訪れた人はほっと懐かしい気分に浸ってしまう。そんなレトロな通りの一画に佇む「美食屋こころ」は地元を始め大阪市内のグルメにも一目置かれる、11年目を迎えた美食の居酒屋だ。しかも、下町だけにお客様の平均単価は、¥3,000前後とリーズナブル!


「うちのモットーは、大皿の創作料理や家庭的な惣菜で、お客様にほっこりしてもらえるところ。とりわけ、地元の河内野菜や浪速の食材にこだわりながら、懐かしいおふくろの味も楽しんでもらえますよ」
 ふくよかな笑顔でゲストを迎えてくれるのが、女将の松本博子(まつもと ひろこ)さんだ。庶民的なムードながら、美食屋こころのしつらえは、萱島ではひと味ちがう洗練された店構えだ。白木が美しいカウンターの上には、松本さん自慢の大皿料理が並ぶ。季節の旬をふんだんに使った料理はそのボリュームだけでなく、目にも鮮やかな彩りが一気に食欲をそそってくる。小鉢物などを含めるとメニューは80種類もあり、すべて松本さんのオリジナルというから脱帽だ! むろん、料理を生かす酒のセレクトにも余念がない。全国のうまい日本酒を知るうちに、それなら寝屋川や門真といった河内らしい日本酒をと、地元の有志とともに「かどま酒」なる地酒を造り出したのである。


「かどま酒は山田錦で造りますが、兵庫県産じゃなくて、地元・門真市の田んぼで栽培しています。それを河内の酒蔵さんで仕込んでいますから、まさに地酒でしょ」

パワフルな女将だからこそ、アルバイトの学生さんとたった二人で繁盛店をこなせていると常連客は口を揃える。その秘訣を、筆者は松本さんのプロフィールに得心した。


        八面六臂の肝っ玉ねえちゃんは、炉端焼き店の血筋

 萱島生まれの萱島育ち、生粋の河内っ子の松本さんは炉端料理店の娘として育った。そんな下町っ子気質と地元愛から、今では寝屋市と門真市の若い料理店オーナーで構成する「飲食店元気塾」を発足。かどま元気バルなどの料理イベントや地元産のかどまレンコンを盛り立てるなど、元気塾メンバーを牽引する肝っ玉ねえちゃんとして八面六臂に活躍している。


「物心ついた頃から、両親は夜遅くまで店を切り盛りしてました。だから、自分の食事は自分で作り、中学になると両親の店を手伝ってもいましたから、知らない間に料理のコツを覚えていたんでしょうね」
 日替わりの大皿料理や季節のメニューの発想は、思い立ったらすぐに手がける。レシピ本など参考にせずとも、少女の頃からの料理の経験と勘が自然に菜箸を動かした。
それでみごとな美食を作るのだから、炉端店の血筋はあなどれない。
「頑固だった父の背中を見ていたせいか、仕入れはすべて自分で目利きしています。馴染みの魚屋さんは父の代からのお付き合いですから、信頼できる上物が入りますよ」
料理一筋だった亡き父親の見様見真似でやってきた松本さんだが、ご主人も早逝し、女手一つで娘さんを育てながらこの店を続けてきた。その後ろ盾には、炉端焼き店を営んだ両親の理解と応援があった。そして愛娘にも、ちがった形でその血は受け継がれているようだと松本さんははにかむ。


「器好きの私の影響でしょうか、高校生の娘が陶芸にハマっています。うちの常連様にも陶器が好きな方がいらして、娘の器も飾ったり、使ったりしています。なんとなく照れくさいのですが、皆さん、味があるねとおっしゃってくれます」
母の手料理を、娘が手作りした器に盛り付ける。ほほえましいしつらえの中に、松本家の強い絆が見え隠れする。いつか娘さんの焼いた器が、美食屋こころの棚いっぱいに揃うだろう。その酒器には、地元のかどま酒がきっと似合うはずだ。


       ひと捻りする工夫と味わいに、日本酒ツウも絶賛!

美食屋こころでは、カウンター席に座りたい! それは大皿料理を前にして、至福の一杯が楽しめるからだ。 さっそく筆者が垂涎したのが、色とりどりの「秋鮭と秋野菜のソテー」。お腹にやさしいゴボウやレンコンの滋味に、脂の乗った鮭の旨味が絶妙に合わさっている。そのまま一気食いと思いきや、松本さんのひと工夫がこぼれ出る。
「これにチーズをのせて、グラタン風に焼き上げるんです。乳製品は、日本酒に合いますからね」
 とたっぷりチーズを振りかける松本さん。アツアツにとろけたチーズが秋野菜と秋鮭を包み込む、ひと手間かけたアイデアレシピだ! しかも、ぬる燗の純米酒とは最高の相性となった。



 一方で、家庭の味の代表格「焼きサンマ」も絶品! 何の変哲もないサンマのようだが、その新鮮さは、松本さんが目の光と身のツヤで見分けた一級品だ。長年の仕入先がイチオシする魚介類だからこそ、こちらは食材の美味しさをそのまま生かせるシンプルな塩味。徳島名産のすだちを添えて、脂のしたたる大サンマをガッツリと楽しめる。これは辛口の本醸造にピッタリだろう。


美食屋こころのお酒は、日本酒7種、焼酎5種のほかワインや果実酒などを揃えている。
晩秋の黄昏に誘われ、ぜひ、昭和レトロな萱島へ。美食屋こころで、ほっこりと和んでみませんか。

■美食屋こころ
大阪府寝屋川市下神田町33-35 
電話:072(801)0408
営業時間:18002400(ラストオーダー 2230
定休日:毎週月曜日


    

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