2020年4月15日水曜日

寿光イチオシの店 VOL.5 「吟醸バー 石橋」

コロナショックで、心が憂鬱な日々。誰もがほっこりと、人情味のある酒場や料理店で癒されたい気持ちになっていると思います。
そんな気持ちにピッタリの、下町の東淀川区淡路にある日本酒BARが「吟醸バー 石橋」さんです。
ご店主の心温まるもてなしと、日本酒愛を感じてください!



     旨い生原酒とおふくろの味に寛ぐ、ホーム スウィート ホーム。



阪急電車沿線の淡路といえば、庶民の町。昭和のムードを残すアーケイドと下町の風情が懐かしい。そんな街角で、全国の蔵元も訪れる極上の日本酒を楽しめる小料理店が「吟醸バー 石橋」だ。
「店構えは、一見、洋酒BARに見えそうですが、若いお客様から長年の常連さんまで、日本酒を通じて親しくなって下さいます。『ただいま』、『おかえり』。そんな声がいつも聞こえるお店なんですよ」

女将の石橋幸代(いしばし さちよ)さんは、ふくよかな笑顔でカウンターに手料理を並べる。


大皿に盛られた、煮物や焼き魚など30種類ほどのメニューは、おふくろの味そのもの。しかも、一品¥400から季節の旬が味わえ、一人鍋料理も1.5人前分で¥1,000というから驚きだ。そして、日本酒は石橋さん自らが利き酒した無濾過生原酒をメインにして、25種類ほどがその日ごとに入れ替わって提供される。こちらも、利き猪口でまずは試飲をして気に入った銘酒を注文してもらうという真心サービスだ。どの日本酒もグラスへ溢れんばかりに注がれ、すべて一杯¥900とリーズナブル! カウンター9席だけの店内だが、お客様には近隣の大学教授や海外からの留学生、医師まで多彩な顔ぶれが揃い、わざわざ神戸や京都からもやって来る。お忍びの有名芸能人やスポーツ選手も、来店している。聞けば、吟醸バー石橋に通いたいがために、淡路へ引っ越して来たご夫婦もいるそうだ。そして、誰もが肩書にとらわれず、仲良く酌み交わすスィートホームのような店と語るのが、週末に幸枝さんを手伝う娘の後藤加奈子(ごとう かなこ)さん。

「お客様は、いつもお店や母のようすをつぶさに伝えてくれます。日本酒のイベントを催した時などは、満員のお客様で、カウンターの中も立ち飲み状態なんですよ(笑)」
母と娘を見守るお客様の温かい人情味も、吟醸バー石橋の魅力なのだ。


          亡き夫の寿司心と、人とのお付き合いが原点。

吟醸バー石橋は、“癒しの宿り木”のような店だ。訪れるゲストは美酒と料理だけでなく、女将と常連客のやりとりに、いつの間にか和んでしまう。その理由に、筆者は石橋さんの人となりを感じる。
「亡くなった主人は、東淡路で小さな鮨店を営んでいました。私は看護師をしながら夫を手伝っていた頃、佐渡ガ島の地酒を飲んで、初めて本物の日本酒の美味しさを知りました。それからは、当時の鮨店には少なかった地酒を置くことにしたのです。ただ、夫は頑固一徹な職人気質で、鮨は一流でしたが、お金儲けは不器用な人でした。でも心底、お客様を大事に思う人でした」
 亡きご主人は十三(じゅうそう)にある有名鮨店を経て、23年前に独立。順風満帆とはいかなかったが、美味しい鮨をより安く、満腹まで食べてもらうことがご主人の信念だったと石橋さんは振り返る。


「夫は子どもの頃から、鮨が食べたくて仕方がなかったけれど、金銭的にそれが叶わなかったそうです。ですから、自分が握る鮨は、学生さんにもお腹いっぱい召し上がってもらう主義でした」
そんな鮨店だったから、お客様と家族のようなお付き合いが生まれた。ご主人の誠実な真心に、看護師だった石橋さんの愛情を添えた鮨は、ゲストの心まで癒すご馳走だったにちがいない。ご主人亡き後、石橋さんは鮨店を日本酒と小料理の店に変えた。朝から夕方までは看護師、それから深夜まで居酒屋の女将として頑張る石橋さんを常連客が盛り立てた。幼い娘だった加奈子さんはご近所の人たちに見守られながら育ち、嫁いだ今もご縁が続いている。そして、加奈子さんと同世代の若い日本酒ファンが、吟醸バー石橋に通い詰める。



       二軒目にも寄りたくなる、ちょうどの料理でリーズナブル。


吟醸バー石橋の人気メニューは、日本酒との相性を考えた三種の「つき出し(¥400/税込)」だ。石橋さん手作りの胡麻豆腐や旬の珍味のほかに、大皿料理から選ぶこともできる。この一皿は、右からポテトサラダ、いくらおろし、むかごで、キレのいい新酒の純米吟醸と合わせたい。

そして、旬の魚の刺身もいろいろ。筆者は好物の「紋甲イカのお造りと生ウニ(¥1,000/税込)」を選んだ。鮨職人だったご主人から魚介類の目利きを教わった石橋さんだけに、鮮度は抜群! 甘いイカとウニの味わいを無濾過生原酒が引き立てる。


ほかにも、ホヤの塩辛など珍味も豊富で、冬には一人鍋料理も楽しめる。蔵元見学や酒旅行で入手した全国各地のおつまみも登場するそうで、サプライズも期待できる。しかも、平均客単価は¥3,500前後とリーズナブル!
「二軒目やちょい飲みにも、いらして下さい。日本酒好きなお客様が、我が家と思って来てくださるように頑張りたいと思います」
そう語る女将さんの笑顔や心を癒す美酒・美味と出会いに、今夜は吟醸バー石橋へいかが。

大阪市東淀川区淡路4-5-7ツイン淡路1F
電話(女将携帯):090-8468-3570
営業時間:17:002300
定休日:日曜、祝日



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