2020年4月19日日曜日

寿光イチオシの店 VOL.6 「和 藤もと」

自粛生活は、食のストレスもたまりますね。あそこの店のカウンター席で、旬の肴とお気に入りの日本酒で一杯やりたい! そんな気持ちに応えるべく、テイクアウトやケータリングも始まっていますね。
今回のイチオシ店は、まさにミシュラン一つ星店でも活躍したオーナー兼料理長で、垂涎の割烹メニューをテイクアウトできる「和 藤もと」さんのご紹介です!
コロナが収束したら、ぜひ、ご予約を! 早くしないと、ずっと満席になりますよ。



        美味しさの可能性を追求する、孤高の日本料理の庵


筆者が今、一番味わってみたい料理店の取材が叶った。

梅田の喧騒からひと足離れる豊崎町に、あたかも茶人の草庵のように佇む「和 藤もと」は、美食家、健啖家の間で噂になりつつある新進気鋭の日本料理店だ。なにより、オーナー兼料理人の藤本和也(ふじもと かずや)さんは、筆者と酒食について切磋琢磨する間柄で、かつて北新地の著名な割烹で料理人を務めてきた腕前。ミシュラン一つ星店で修めた至高の技と人となりを持って、今春、開店したのが「和 藤もと」なのだ。
「当店の御持て成しは、コース料理のみ。お酒は日本酒が基本で、コースの一品ごとに合わせてお楽しみ頂けるペアリングが、私のコンセプトです」
冴えわたる藤本さんの技を目にするカウンター席は、6名掛け。茶室風のお座敷は、小グループにおススメの67名と、どちらもゲストの食事と会話の邪魔をしない設計。落ち着ける雰囲気も功を奏して、平日はビジネス利用客の接待、週末にはご近所の夫婦や家族連れが常連客となっている。
ゲストの誰もが酔いしれる美食は、天然物の食材とオリジナル調味料にこだわり、11品が登場する至高のコース料理(御一人様 \10,000/税別)。魚介類の御造りは、獲れたてキトキトの刺身だけでなく、藤本さん独自の熟成方法を使って旨味を醸す。そんな旬の魚一種類ずつを、趣き深いデザインの一皿に美しく盛るのが藤本流! さらに、鮪などの赤身魚は卵黄醤油、白身の真鯛なら煎り酒、サンマは肝醤油と、枚挙に暇がないほど豊富な味付けで提供。なるほど、味わう美酒も、すこぶるつきにうまいわけだ。
 

「私は山形県産の庄内野菜、兵庫県の但馬産野菜がお気に入りで、とりわけ米は、但馬の無肥料・無農薬のササニシキを選んでいます。北新地時代に但馬の篤農家の方と親しくなり、直接手に入れています。土作りと沢水にこだわり抜いた米で、うちの土鍋ご飯に欠かせません」
 料理の撮影時、藤本さんが蓋を開けた炊き立ての土鍋ご飯から立ち昇る湯気に、筆者は垂涎するばかり! ピカピカな米粒だけでなく、旬の食材も入った炊き込みご飯風に口元がほころぶ。「和 藤もと」のコース料理には、必ず、この土鍋ご飯が付いている。さらに、日本酒ファンにとってイチオシなのが、コースの真ん中で供される八寸だ。
「通常、八寸は料理の始まりに出されますが、厳選した日本酒を心ゆくまで味わってもらいたいので、私は敢えて、お客様がひと息つくコースの半ばで提供し、ゆるりと酒肴を嗜んで頂きます」

 なるほど! けだし名案だ! しかも、日本酒に精通する藤本さんがセレクトしている美酒は、常時30種類ほどで、これらを3週間ごとに変えるコース料理に合わせ、45銘酒を入れ替えると言うから脱帽だ! 食材、しつらい、器、さらに酒と、「和 藤もと」らしい孤高の流儀が垣間見える。


            食材の旨味、酒の旨口、うまいの真髄を愛でる。

藤本さんは食材の吟味から調味まで、無添加・無化調へ徹底してこだわりながら、まだまだ一流の腕には程遠いと謙遜する。腕を磨いた修行時代を聞けば、さすらいの板前という表現がピッタリだ。
「兵庫県の小野市出身で、20歳から地元の和食店で働きました。それからは大阪・茨木市の会席料理店、京都・先斗町の京料理店を経験して、北新地の割烹に入りましたが、きっかけは良き先輩の紹介があったればこそでした」


3年から4年ごとに、さまざまな料理やしつらいを学び、腕前と感性を鍛えた藤本さん。かつては美容師も志し、手先を動かす職人仕事が好きだった。敢えて一本独鈷な板前修業を選んだのも、型に縛られない自分流の工夫を手にしたかった。いつか自分の店を持つのを夢見て、料理のみならず、華道や茶道も習ったほどの探求心と経験の積み重ねが、和 藤もとに結集されていると筆者は感じる。その一つとして挙げるのが、“魚を寝かせる”こと。いわゆる、熟成魚である。




「昨今、牛肉だけでなく鮮魚も熟成人気です。その理由は、獲れ立てより、数日間、冷温貯蔵することでアミノ酸やイノシン酸といった旨味成分がグッと引き出されるから。熟成した刺身は、噛めば噛むほど甘さが出るんですよ」冷蔵熟成する秘訣を訊けば、ただ、ほほ笑むだけの藤本さん。さすらいの我流で鍛えた知恵を、簡単には披露しないのだ。和 藤もとで舌鼓を打つゲストは、40歳から50歳の男女が半々。ゆっくりと時間を取りながら、食材と日本酒のペアリングを堪能して欲しい。そして、静かな雰囲気の中で大人の日本料理や器の粋を楽しんでもらいたい。本物の美味しさとは何かを常に考え、和食を愛でる姿こそ、藤本さんの理想なのだ。


        アートを堪能するような、至福の和膳に酔いしれる。

さて、四季折々、希少かつ本物の食材を揃える「和 藤もと」で外せない料理をコースメニューからご紹介しよう。まずは、美酒とペアリングしながら、ゆったりと癒されてほしい「八寸」。なんと、7種類の小鉢をしつらえる。献立は、時計回りに「岩手の二子芋唐揚げに、筋子の味噌漬け」「黒イチジクの胡麻クリーム掛け」「子持ち鮎の甘露煮」「菊菜と菊花と松茸のおひたし」「すっぽんの煮こごり」「鱧と松茸の天麩羅、餅ぎんなんの唐揚げ」と、真ん中は「シャインマスカットの白和え」。いかがだろう。この豪華な八寸だけで、左党は舌なめずりして美酒を堪能できそうだ。


そしてコース〆の定番は、土鍋ご飯! ホカホカ湯気の中に、焼き穴子とまこも茸、セリの香りが芳しく食欲をそそってくれる。


「コースは、少ない品数でしたら¥8,000からもできますし、豪華版のメニューもご予算に応じていたします」と藤本さんからの嬉しいメッセージも頂いた。
今夜は梅田から徒歩10分ほどの「和 藤もと」で、本当の美味しさとは何かを、見つけてみませんか。

◆和 藤もと https://wafujimoto.owst.jp/
大阪市北区豊崎町3-6-11
電話:06-6131-9710
営業時間:1800~ラスト
定休日:不定休







0 件のコメント:

コメントを投稿